そいとごえすの退避ブログ

2019-02-21 はてダから移転。

『悪魔学入門』

ダンボール開けて死蔵状態の本を数冊斜め読み。


誘惑に負けて堕落する人間とは違って、ルシファーの堕落は他の何者にも転嫁することのできない彼自身の罪である。それゆえ彼の堕落は永劫の宿命であった。



悪魔学入門』(J.チャールズ・ウォール、松本晴子訳、p.76、北宋社

なるほど。熾天使ルシファーに率いられた天使の一群が神に叛逆し、地獄に落とされて悪魔となるわけだから、彼が叛逆を起こした時点では“誘惑する者=悪魔”はまだ存在しなかったわけで、「いや、つい魔がさしちゃって…」という言い訳もできなかった、と。100%自己責任か。きっついなあ。
しかし、己の力を過信し神に叛意を抱くほどの大天使を創造したのは神なんだけどな。当時は製造者責任という考え方がまだ無かったから「彼自身の罪」として断罪されてそれきりか。
上の引用に続いて、神が天使を創造するとルシファーは真っ先に自発的に賛美歌を歌い出したので神は彼に注目した(そしてそのことがルシファーの慢心の原因となった)という説が紹介されている。してみると創造主は、被創造物がどういう能力を有するかを完全に把握した上で作ってたわけではないということか。ルシファーらの叛逆は神にとっては想定の範囲外だったのかねえ。やっぱり製造者の過失? ここらへん、キリスト教悪魔学ではどう辻褄を合わせてたんだろう?
今まさに手元に『悪魔学入門』なんて本があるわけだが、このあたりの消息は書いてなかったような。10年以上前に読んだきりだから忘れた。これは駄本(内容スカスカでとりとめのない*1論文を無理やり1冊の単行本にしたような感じで、イラストも大半がバチモンみたいな貧弱なペン画のため眺める楽しみもない、また原著・原著者に関する説明が一言もない*2不親切な翻訳書)なので丁寧に再読する気にもなれない。

悪魔学に関する本は他にも何冊か持っているのだが例によってどこにあるやらわからん。そろそろ本の整理をしないといかんなあ。

*1:原著者は充分自覚していたようで、序文の冒頭で「ここに展開されたモザイク画は、主題があまりに多岐に亙っているので、一幅の完璧な絵模様を織りなすまでに至っていない」と言い訳している。

*2:ググってみた。原著、J.Charles Wall の"Devils"はイギリスで1904年に刊行されたものらしい。