そいとごえすの退避ブログ

2019-02-21 はてダから移転。

障害者自立支援法と「きっこの日記」

「きっこの日記」障害者自立支援法にふれるたびに釈然としない思いがする。22日の日記でまた言及している。といっても与党批判に持ち出しているだけで中身は無いのだが。

ちょうど1年前の10月28日、衆議院厚生労働委員会で、自民党公明党は、全国の障害者やその家族たち、障害者を支援する団体や施設職員たちの涙の訴えを完全に無視して、社会から障害者たちを切り捨てるための悪魔の法案、「障害者自立支援法案」を頭数にモノを言わせて強行採決した。自民党公明党によって、全国の障害者たちが、地獄へ突き落とされたのだ。そして、今年の4月1日から、この、名前と内容とが正反対の悪法、「障害者自立支援法」が施行され、数え切れないほどの人たちが苦しみ続けて来た。


釈然としないのは中身が無いからではない。扇情的な決め付けばかりとはいえ、障害者自立支援法が多くの障害者にとって悪法だというのは事実らしいから、それを、影響力のある“声の大きな人”が世間に訴える意義はあると思う。
しかし「きっこの日記」がこの「悪魔の法案」に初めて言及した時(2005年9月2日)には、これと正反対のことを書いていた。曰く、


そして、コイズミ1人のワガママのせいで、残りの55件の法案もすべて廃案になったワケだけど、その中には、ニポン中の障害者やその家族が心待ちにしていた「障害者自立支援法案」、(中略)などが、すべて廃案になってしまったのだ。

これにはギョッとして、当時、当ダイアリーでもふれた。「ニポン中の障害者やその家族が心待ちにしていた『障害者自立支援法案』」というきっこ氏の認識には多数のツッコミメールが届いたらしく、すぐにこの箇所は削除され、「2点の訂正」というお断わりが掲載された(参照→ 2005-09-04)。

誰にでも間違いはある。誤りを正すにはばかることなかれ。君子は豹変す。本人が間違いに気づき、最初の発言を削除してそれ以後正反対の見解・主張を語り始めたとしても、それをとやかく言う気はない。ただ、「きっこの日記」で障害者自立支援法を力いっぱいこき下ろす文言を見るたび、(正しいと信じることを主張するにしても、この件では最初に大チョンボしてるんだから、もうちょっと気恥ずかしげに、声を落として語ればいいのに)なんて、苦笑しつつ読んでいた。


ところがその後、「きっこの日記」から「2つの訂正」(お断わり)が消えているのに気づいた。訂正告知文が消えたため、「きっこの日記」(の過去ログ)は障害者自立支援法(法案)の問題点を熟知した上で当初から批判し続けていたかのようになっている。
こういうのは美しくない。美しくないというのは私の主観的な価値観でしかないが、しかしきっこ氏自身もかつて藤野真紀子*1について、 ――公式サイトで「選挙には出ない」と広言していたのにその文言を削除して選挙に立候補した、「過去の日記の中で都合の悪い部分だけをトットと削除するコソクさは、サスガ、コイズミの子供だね」―― と批判している。→ 2005/10/07 (金) お菓子の国のセレブ 5
訂正告知文を削除している以上、この批判はそのままきっこ氏自身にも当てはまってしまう。

悪法を悪法だと声を上げることは意義があると思いつつも、「きっこの日記」が障害者自立支援法にふれるたびに釈然としない思いがする今日この頃なのだ。




以下、深夜追記
単なる偶然だが、21時半に関連記事が配信された。短いので全文引用しておく。

福祉サービスを利用する障害者に、原則1割の費用負担を課した障害者自立支援法が4月に施行された後、負担増を理由にサービスをやめた障害者は、埼玉、富山、岐阜、大阪、宮崎など14府県の各調査の単純平均で、0.39%に上ったことが分かった。利用控えは三重など4県の各調査の単純平均で1.05%だった。

*1:料理研究家、2005年9月衆院当選、いわゆる小泉チルドレンの一人。ちなみに、「藤野真紀子」@ウィキペディアによると、藤野真紀子は選挙で障害者自立支援法案を絶対通すと公約」していたんだそうな(8月の衆院解散で法案が廃案になった直後の選挙)。