そいとごえすの退避ブログ

2019-02-21 はてダから移転。

「去年の夏突然に」と「悲しみのセバスチャン」

以下は、HDから発掘した8年前の草稿。何か書き足すつもりでアップを保留にしてあったようだが、もはや思い出せない。

2001-03-05

5日午後、息抜きにTVをつけたらTV東京が「去年の夏突然に」を放映していた。後半30分のみ見た。
この作品は子供の頃一度見たきりだが、強烈に印象に残っている。といっても後半のヒロインの白い水着姿と、クライマックスの少年たちの群れに追われる青年(セバスチャン)のシーンしか覚えていないのだが。なにしろヒロインを演じるエリザベス・テーラーがハリウッドを代表する女優だということも知らなかった年頃のことだから記憶が曖昧なのも仕方ない。
その断片的に記憶に残っていた後半部分のみを、今回数十年ぶりに再見した形となった。いやぁ、やっぱりこれ、学童年齢で見たらトラウマ残るよ。ホモセクシャルについて無知な子供が見ても、破滅へと傾斜していく壊れかけた詩人の秘められた性愛傾向、それが禁断の世界であることが漠然とではあるが感得できる。少なくとも私の場合はそうだった。
後年、学生時代に友人にコックニー・レベルの「悲しみのセバスチャン」を聴かされ、即座にこの映画を連想した。恋人への未練を残しつつすべてを諦めたかのような投げやりな、あるいは達観したかのような、愛と恨みの言葉をけだるく甘く歌う声。繰り返される“Somebody called me Sebastian”のフレーズ・・・・・・。友人は「これは自殺直前の男の歌だ」と評していた(実際、そういうフレーズが冒頭にある)。退廃的であるだけではない。淫靡な背徳の匂いがある。
さらに後年、上京してCD屋を徘徊している時、コックニーのCDを見つけた。さっそく購入してライナーノーツを読んで驚いた。解説の冒頭が「ここに収録されている『悲しみのセバスチャン』を聴く度に『去年の夏突然に』を思い出す」という一文なのだ。同じ連想をした人がここにもいた。解説者(和久井光司)は「スティーヴ・ハーリーが実際に『去年の夏突然に』にインスパイアされてこの曲を書いたのかどうか、僕は知らない」が、「ハーリーは性的倒錯、あるいは精神的退廃の象徴である「セバスチャン」に自らをダブらせて『去年の夏突然に』からその名前を引用したのだ、と(確信している)」と書いている。 激しく同意。


以上、2001年3月の草稿。
2005年5月に言及した時に貼ったAmazonリンクが今は無効になっているようなので商品リンクを貼り直しておく。

美しき野獣の群れ(紙ジャケット仕様)

美しき野獣の群れ(紙ジャケット仕様)



訂正。画像が出ないのでリンク無効と勘違いした。以前貼ったリンク(商品)(US輸入版、EMIの紙ジャケ版より安い)もまだ生きていた。「美しき野獣の群れ」(The Human Menagerie [Import] [from US])

追記Amazonの詳細ページで試聴できる。このエントリーを書いている時、かすかに脳内で再生されていたのだが、あらためて外部(ヘッドフォン)から聴くと首筋がゾクゾクする。