そいとごえすの退避ブログ

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22年目の夏:記事備忘


 85年8月の日航ジャンボ機墜落事故に関し、英カーディフ大日本研究センターのクリストファー・フッド所長(36)が、事故の日本社会への影響などを英語の本にまとめ10年に出版しようと、日本での現地調査やインターネットでのアンケートを始めた。



 大学の授業で事故の英国人犠牲者の父親に話をしてもらい興味を持ったのがきっかけ。事故に関する本を探したが、ほとんどが日本語で書かれていたため、英語での執筆を思い立ったという。



 12日に群馬県上野村で開催される追悼慰霊式に合わせ、フッド氏は9日に訪日。日航の安全担当者らへの聞き取り調査のほか、12日の慰霊式の様子を視察することなども計画している。



 フッド氏は同事故を、日本人以外でも多くの人々が強い関心を持っていると指摘。事故原因に加え、メディアの報道ぶりや救出活動の様子、遺族感情などを外国人の新たな視点で伝えたいとしている。



 アンケートのホームページアドレスはhttp://jl123.co.uk(ロンドン共同)



 乗客乗員五百二十人が死亡した一九八五年八月十二日の日航ジャンボ機墜落事故で、日航は八日までに、墜落時間で止まった時計など回収された所有者不明の遺品の一部を、安全啓発センター(東京都大田区)に展示する方針を決めた。



 日航はこれまで、所有者不明の遺品約二千七百点を「焼却した上で群馬県上野村の追悼施設『慰霊の園』に納める」と説明してきたが、保存・展示を求める遺族の声を受けて方針を転換。事故再発防止の取り組みに生かすことにした。



 一方、「事故の悲しい記憶がよみがえる」などとして処分を求めている遺族もおり、日航は展示への理解を求めるとともに、展示しない遺品の取り扱いを遺族と協議し、決める。



 所有者不明の遺品は、時計などの金属類や、衣服や靴など身に着けるもののほか、人形などの土産品などもあり、日航羽田空港内の施設に保管。止まった時計や変形したペンなど、事故の衝撃を生々しく伝えるものが多い。



 今後は、遺族らでつくる「8・12連絡会」などと日航との間で、展示や保存についての協議が進められる見通し。安全啓発センターには、すでに事故機の残骸(ざんがい)や、乗客が機内で書き残した遺書が展示されている。

2007年8月9日 朝刊


 午後6時56分。十数個の時計が一様にその時刻を指したまま止まっている。520人の犠牲者を出した85年の日航ジャンボ機墜落事故で、持ち主不明のままに保管されてきた遺品の一部だ。御巣鷹(おすたか)山(群馬県上野村)での惨事から22年。関係者の高齢化が進み、風化が危惧(きぐ)されるなか「その時」を永遠に刻んだ物言わぬ証人として、日本航空は遺品の一部展示を決めた。



 日航などによると、いまだに持ち主が分からない遺品は約2700点。衣類、指輪、鍵など多岐にわたる。眼鏡の多くはフレームがひしゃげてレンズが砕け、万年筆はねじれて折れ曲がり、事故の壮絶さをうかがわせる。

 時計はスイス製の高級品から、アニメのキャラクターウオッチまでさまざま。ほぼ原形をとどめているが、関係者は「22家族が全員亡くなるなど、近親者がいない犠牲者も多い。所有者の特定は難しい」と説明する。



 こうした遺品については従来、「荼毘(だび)に付し、慰霊の園にまつりたい」と処分を求めた日航側に対し、保存・公開などを望む遺族側が反発。取り扱いが決まらないまま、日航の施設内で保管されてきた。



 しかし、06年4月に開設された「日航・安全啓発センター」(東京・羽田空港内)の後押しもあり、事故機の部品や犠牲者のメモなどを展示した同センターに遺品も加え、安全意識の醸成などにつなげることになった。



 展示する具体的な遺品や時期については今後、日航と遺族が話し合っていく。遺族でつくる「8・12連絡会」の美谷島邦子事務局長は「遺族には事故を思い出すつらさ以上に、事故が忘れられるつらさが大きい。自分たちが死んだ後、遺品がどうなるかという不安もある。社会の役に立ててもらいたい」と話している。【高橋昌紀】


 520人が犠牲となった日航ジャンボ機墜落事故から、12日で22年を迎えます。事故から長い歳月が経ち、遺族や関係者たちの安全への願いは今、新たな形を迎えています。



 群馬県御巣鷹の尾根。22年前のあの日、520人の命とともに散ったジャンボ機の残骸は、今、東京・大田区の「日本航空安全啓発センター」に展示されています。



 「やはり、負の遺産とはいってもね、我々の原点であることは事実で、あそこから我々の新たな安全施策のスタートがあったと思っています」(日本航空 安全推進本部長 岸田清・専務)



 日本航空内部でも賛否の声が上がる中、社員教育のためにと去年4月「公開」に踏み切ったといいます。

 「安全という形が見えないものに対する安全教育の中では、一番重要な教育のツールだと。やはり最後「人間の心」それがどういう思いでそれらを実施するかと。そこに安全対策ってかかっていると思います」(日本航空 安全推進本部長 岸田清・専務)



 「安全教育」というソフト面の対策の強化。特に注目されているのは、断片的なコミュニケーションや、小さな思い込みが大事故につながる「ヒューマンエラー」をどう防ぐかということです。



 「まさにですね、最近の事故は、ヒューマンエラーが6割から7割近くを占めているといわれています」(全日本空輸 総合安全推進委員会委員長 大前傑・副社長)



  今年1月に開設された「ANAグループ安全教育センター」。36年前、162人が犠牲となった雫石事故をはじめとして、全日空が起こした事故と、その後の安全対策を知ることができます。当時の職員たちが減っていく中、過去の経験を知り、学ぶ施設を求める声が若手の職員たちから上がってきたのだといいます。



 「ANAグループの存在意義というのは、安全運航があって初めて、社会に存在しえると」(全日本空輸 総合安全推進委員会委員長 大前傑・副社長)



 今年3月。ここに鉄道事故などで肉親を亡くした遺族たちの姿がありました。2年前、JR西日本福知山線脱線事故で長女を亡くした藤崎光子さん。

 「(見学して)本当に強い衝撃を受けたんですけども」(JR福知山線被害者遺族 藤崎光子さん)



 日航ジャンボ機の残骸も見学したという藤崎さんは、JR西日本に、事故車両の公開を求めています。藤崎さんは、他の鉄道事故などの遺族たちと共に12日、御巣鷹の尾根に登ることを決めました。

 「共通の思いというのは『安全』ということ。色んな遺族の方たちと交流を持つ中で、教えられ、励まされて、今後も運動を続けていきたい」(JR福知山線被害者遺族 藤崎光子さん)



 「(他の事故の被害者も)やはり思いが一緒。御巣鷹はそういう意味では、安全を求める人たちの聖地的存在になりつつあるのかなって思っています」(日航ジャンボ機墜落事故 被災者家族の会事務局長 美谷島邦子さん)



 安全を求める事故の被害者たちの思いが、今、繋がろうとしています。


 乗客乗員520人が死亡した1985年8月12日の日航ジャンボ機墜落事故で、日航は8日までに、墜落時間で止まった時計など回収された所有者不明の遺品の一部を、安全啓発センター(東京都大田区)に展示する方針を決めた。日航はこれまで、所有者不明の遺品約2700点を「焼却した上で群馬県上野村の追悼施設『慰霊の園』に納める」と説明してきたが、保存・展示を求める遺族の声を受けて方針を転換。事故再発防止の取り組みに生かすことにした。


 一方、「事故の悲しい記憶がよみがえる」などとして処分を求めている遺族もおり、日航は展示への理解を求めるとともに、展示しない遺品の取り扱いを遺族と協議し、決める。


 所有者不明の遺品は、時計などの金属類や、衣服や靴など身に着けるもののほか、人形などの土産品などもあり、日航羽田空港内の施設に保管。止まった時計や変形したペンなど、事故の衝撃を生々しく伝えるものが多い。


 事故から約1年かけて、東京や大阪などで遺族に対し遺品を展示したが、約2700点は所有者が判明せず、日航は1986年の一周忌を機に焼き、灰を慰霊の園に納める方針を遺族側に示した。


 しかし、遺族から「事故の教訓を伝えるために保存を」と反対の声があり延期。その後も取り扱いは先送りされてきたが、今年春に実施した遺族へのアンケートでも展示への反対はなかったことなどから、日航は一部については展示することを決めた。


 今後は、遺族らでつくる「8.12連絡会」などと日航との間で、展示や保存についての協議が進められる見通し。安全啓発センターには、すでに事故機の残骸(ざんがい)や、乗客が機内で書き残した遺書が展示されている。


日航ジャンボ機墜落事故


 1985年8月12日夕、羽田発大阪行き日航ジャンボ機が、群馬県上野村御巣鷹の尾根に墜落し、乗客乗員524人のうち女性4人を除く520人が死亡した。運輸省航空事故調査委員会(当時)は87年に公表した最終報告書で、78年の大阪空港での尻もち事故の後、米ボーイング社の作業員が後部圧力隔壁の修理をミス、日航運輸省(当時)の担当者が見逃したのが原因と結論。隔壁や垂直尾翼などの残骸(ざんがい)は、安全啓発センター(東京都大田区)に保存・展示されている。


=2007/08/09付 西日本新聞朝刊=


雑文サイトの日航123便のボイスレコーダー報道にこのエントリーを追加するか、逆にあれをこっちに移すか、考え中。

(このエントリーは2008-01-11にアップロード)