そいとごえすの退避ブログ

2019-02-21 はてダから移転。

なだしお事件の裁決

(02-21、末尾にリンク追加。/02-22、裁決・判決の時系列表を追加挿入。)
ブックマークだけだと後でややこしくなりそうなのでここにもメモしておく。

 なだしお艦長と第一富士丸船長は過失責任をめぐり対立。海難審判1審は、なだしおの一次的原因を裁定したが、東京・高等海難審判庁は双方に同等の過失とした。

 この裁決をめぐる訴訟で東京高裁は、なだしおに主因があったとした。


段落を切っているので意味がとりづらいが、東京・高等海難審判庁の「双方に同等の過失」という裁決(1990年8月)に対しては、行政訴訟が起こされ、東京高裁で「なだしおに主因」との判決が出ている(94年2月)。(刑事裁判は92年12月、横浜地裁の「なだしお主因」判決で確定。)(高裁判決については下の追記参照。)

今日の産経記事はよりわかりやすい書き方になっている。

 なだしお事故では、回避義務がどちらにあったかが大きな争点になったが、平成6年の東京高裁判決は、なだしお側に事故の主因があったと認定した。「今回もあたごに主因があったと思われる。だが、追突でない限り一方に100%の過失があるということではない」(田川弁護士)と、双方の過失割合もポイントとなるとみられる。

(強調は引用者による。)

1989年 7月25日 海難審判 1審、「なだしお主因」(横浜地方海難審判庁
1990年 8月10日 海難審判 2審、「双方平等の過失」(高等海難審判庁
1992年12月10日 刑事裁判、「なだしおに主因」判決(横浜地裁)(1審で確定)
1994年 2月28日 海難審判2審の裁決に対する行政訴訟で「なだしお主因」と認定(東京高裁

他所様のコメント欄(id:pr3氏の黙然日記 2008-02-19)にいきなり書き込まず、最初からこうやって日記に書いてトラバを飛ばしたほうがよかったか。

あちらのコメント欄に書いたことの補足。

昨夜読んだ時にはどちらも東京高裁判決に言及していなかったが(海難審判庁の記事は仕方ないか)、Wikipediaの記事はもう加筆されている。

判示・判決

海難審判庁は、両者について海難審判を開始した。1990年8月10日、高等海難審判庁は採決において「なだしお」の回避の遅れと「第一富士丸」の接近してからの左転に問題があったと判示した。その後の東京高等裁判所の判決では、事故の主因はなだしお側にあったと認定された。 この事件が多くの被害を出したのは、轟沈とよばれる短時間での沈没であったことと、そのため船内にいた人が脱出の機会を失ったこと、また救命胴衣の着用がなく脱出した者も力つきて溺れたことなどが挙げられている。

(強調は引用者による。今朝加筆されたセンテンス。)



追記(02-21)

東京高裁判決のありかについて、先方のコメント欄E-Ju さんからご教示いただいた。リンクしておく(リンク先にPDFの全文あり)。