そいとごえすの退避ブログ

2019-02-21 はてダから移転。

一條裕子

ダンボール箱に詰め込んであった雑誌の切り抜きを整理。一條裕子の「或る幸福」(全6Pの掌編、「近代麻雀ゴールド」1998、4月号)と「2組のお友達。」(第12話:菊池くんとスカート2、4P、「ビッグコミック・スピリッツ」、年月日不明)が出てきた。保存状態が悪いので茶色に変色している。
ロットリングで引いた(?)均質だが微妙に揺れる描線、白背景とスクリーントーンと黒ベタの印象的な対比、端正な絵に盛られた奇妙なユーモア感覚。デッサンがしっかりしていてたぶんアート系出身だが絵の腕とセンスを誇示するようなところがなくちゃんとマンガになっている。
「或る幸福」は、喩えていうと、マンガに出会わぬまま成長し老人となった今もマンガというものの存在を知らない手塚治虫が人生を振り返って感慨に耽る物語(の麻雀バージョン)。絵もいいが、着想とその演出が巧みな傑作。これは凄い新人だと思って切り抜いて……それっきり忘れていた。

で、今さらながら、検索してみた。その後も、今も、バリバリ活躍していたのだなあ。

おまけコーナーで作品数点の立ち読みやエッセイのサンプルも閲覧できる。ペンはロットリングではなく、フランスのメカノーマの製図ペンを使っていたんだそうな。やっぱり美大出身だったんだな。→ メカノーマの製図ペン。

余談になるが、Web での作品使用についてリンクや引用に関する記述が見事。ウェブの専門団体や著作権関係のサイトでもとんでもないリンク・引用規定を書き並べていることがあるが、ここをお手本にしてほしいものだ。
訂正追記:リンクに関してはこのサイトについてに書いてある。)